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2012年12月

2012年12月24日 (月)

GMTで標高・水深を色で塗り分け(gridimage)、スケールをつける(psscale)

WindowsでGMT第8回、前回からの続きです。
連載のまとめはこちら(外部リンク)です。
ブログ内のカテゴリーGMT(地図ツール)からでも一括でみることができます。

標高・水深を色で塗り分けて(gridimage)スケールをつけてみる(psscale)。

フォルダは前回までと同じで
GMTのインストールフォルダc:\programs\GMT4
地形データETOPO1の保存先 c:\programs\GMT4\share\dbase
作業フォルダ d:\data\gmt
とします。

1.色塗りしてみる(gridimage)
gridimageを使って、etopo1により早速色塗りをしてみます。
適当な名前で次のバッチファイルを作ります。
まずはpscoastで海岸線を引かずに作業始めます。
-------------------------------------------
c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(改行)
c:\programs\GMT4\bin\grdimage japan.grd -JM12c -Bg5a10f5:."Map": -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_relief.cpt -P>mapbat.ps
-------------------------------------------
今回もグリッドファイルはetopo1から必要な範囲をgrdcutで切り出して使用しています(1行目)。
2行目gridimageは2次元バイナリのグリッドファイルから、2次元カラーイメージ(塗りつぶしコンター)を出力するコマンドです。グリッドファイルの範囲(今回はR120/155/20/50)の描画を自動的に行います。書式はgridimage グリッドファイル名 オプションの順になります。
 -J:描く図法,-B:枠の指定,-P:印刷を縦向き、の各オプションはpscoastと共通です。
 -Cオプション:カラーパレットファイルを指定します。
カラーパレットとは、色塗りする色調を指定しているファイルです。windows用のGMT4.5.8ではGMTをインストールしたフォルダの中の\share\cptに入っています(今回のケースではc:\programs\GMT4\share\cpt\となります)。このフォルダを除くとGMT_(色々な名前).cptというファイルが24個ほど入っています。このファイルそれぞれに各種色調が指定してあります。ここではGMT_relif.cptで試しに色塗りしてみます。

Japanrel

2.スケールをつけてみる(psscale)
スケールをつけるコマンドはpsscaleです。さきほどのバッチファイルを書き換えますが、-Kオプションと-Oオプションを忘れないよう追加します。
-------------------------------------------
c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(改行)
c:\programs\GMT4\bin\grdimage japan.grd -JM12c -Bg5a10f5:."Map": -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_relief.cpt -P -K>mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\psscale -Ba4000g2000f1000:depth(m): -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_relief.cpt -D8c/-1c/9c/0.3ch -O>>mapbat.ps
-------------------------------------------
オプションの説明です。
-Bオプション:aスケールの数字間隔、gスケールに縦線を入れる場所,fスケールに補助線を入れる場所を指定する。fオプションの後に:と:で区切った間に表示させる説明文をいれる。
-Cオプション:カラーパレット-の場所を指定する。gridimageと同じです。
-Dオプション:スケールの位置を図の原点からの相対位置でx,y,幅,高さの順に指定する。cmはc,インチはiをつける。最後のhはバーを横向につけるという意味。指定しなければ縦向きとなります。
出てきたスケールですが、-8000~8000となっています。これはGMT_relief.cptが-8,000m~+8,000mまでしか定義されていないためです。範囲外の数字は両端の色で描かれます。この上限値はカラーパレット毎に異なっています。

ところで、このまま絵を描いてみても、スケールバーの下にdepth(m)という表記が出てきません。これは図の下側が切れてしまったためです。そこで全体を5cm上に移動させます。その場合は描画の1個目のコマンド(この場合はgridimageに-Yオプションをつけます。-Y5cで5cm上に描くという意味です。
-------------------------------------------
c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(改行)
c:\programs\GMT4\bin\grdimage japan.grd -JM12c -Bg5a10f5:."Map": -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_relief.cpt -Y5c -P -K>mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\psscale -Ba4000g2000f1000:depth(m): -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_relief.cpt -D8c/-1c/9c/0.3ch -O>>mapbat.ps
-------------------------------------------
x方向に移動する場合は-Xでかけます。下や左に移動する場合は-(マイナス)で指定します。インチはiです。一度原点を移動すると、それ以降にでてくるすべてのコマンドの原点が変わります。この場合ですと、psscaleの原点も5cm上に上がっています。そのためにdepth(m)が見えるようになりました。
Japanrels
3.色調を変えてみる。
まずGMT_globe.cpt(-10,000m~+10,000m)を使ってみます。先ほどのバッチファイルでカラーパレットの箇所のみ変更します。
-------------------------------------------
c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(改行)
c:\programs\GMT4\bin\grdimage japan.grd -JM12c -Bg5a10f5:."Map": -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_globe.cpt -Y5c -P -K>mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\psscale -Ba4000g2000f1000:depth(m): -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_globe.cpt -D8c/-1c/9c/0.3ch -O>>mapbat.ps
-------------------------------------------
色調が少し変わりました。またスケールが-10,000~10,000に自動的に変わったのがわかります。
Japanglobe_2

さらにGMT_ocean.cpt(-8,000m~0m)に変更してみます。
-------------------------------------------
c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(改行)
c:\programs\GMT4\bin\grdimage japan.grd -JM12c -Bg5a10f5:."Map": -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_ocean.cpt -Y5c -P -K>mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\psscale -Ba4000g2000f1000:depth(m): -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_ocean.cpt -D8c/-1c/9c/0.3ch -O>>mapbat.ps
-------------------------------------------
スケールが-8000~0に変更となったため、陸地はすべて上限値の白色となりました。

Japanocean
この場合、海岸線はpscoastで描きます。最後の行に海岸線を描くコマンドを追加します。psscaleに-Kオプションをつけるのを忘れずに。
--------------------------------------------
c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(改行)
c:\programs\GMT4\bin\grdimage japan.grd -JM12c -Bg5a10f5:."Map": -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_ocean.cpt -Y5c -P -K>mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\psscale -Ba4000g2000f1000:depth(m): -Cc:\programs\GMT4\share\cpt\GMT_ocean.cpt -D8c/-1c/9c/0.3ch -O -K>>mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\pscoast -JM12c -R120/155/20/50 -W -O>>mapbat.ps

--------------------------------------------
海岸線が出てきました。このようにGMTではコマンド毎に重ね描きすることができます。

Japanoceancst_2

2012年12月22日 (土)

後免町

Dokinchanjpg

日中は服を着せてもらっているようです。

2012年12月21日 (金)

GMTで観測点(psxy)説明文(pstext)を入れてみる

WindowsでGMT第7回、前回からの続きです。
連載のまとめはこちら(外部リンク)です。
ブログ内のカテゴリーGMT(地図ツール)からでも一括でみることができます。

観測点(psxy)説明文(pstext)を入れてみる。

できた地図に対して、観測点に相当する丸印と説明文を入れます。それぞれpsxyとpstextというコマンドを使用します。
フォルダは前回までと同じで
GMTのインストールフォルダc:\programs\GMT4
地形データETOPO1の保存先 c:\programs\GMT4\share\dbase
作業フォルダ d:\data\gmt
とします。前回作成したバッチファイルjapancoast.batを使います。ファイルの中身は以下のとおりです。
---------------------------------------
c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(改行)
c:\programs\GMT4\bin\pscoast -A150 -JM12c -R120/155/20/50 -W -P -Bg5a10f5:."Map": -G100/100/100 -Lf150/16/16/500+l+jr -K> mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\grdcontour japan.grd -JM12c -C1000 -W1 -L-12000/9000 -O>>mapbat.ps(改行)
---------------------------------------

1.psxyで観測点を入れてみる。
d:\data\gmtフォルダに観測点の場所が書かれているファイルを用意します。ここではhydro.txtとします。これはメモ帳で普通に作成してください。
とりあえず中身は以下のように記載してください。
---------------------------------------
139:13.5 35:00.0
139:52.0 32:06.5
126:58.0 27:33.0
127:05.0 27:16.0
---------------------------------------
          ↑此処には半角スペースを1個入れます。
上から順に初島、明神、伊平屋、伊是名の経度、緯度が書かれています。経度緯度の間には半角スペースを一個入れてください。

バッチファイルの最終行、grodcontourの-Oと>>の間に-Kを追加します。また次の行にpsxyコマンドを書き加えます
---------------------------------------
c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(改行)
c:\programs\GMT4\bin\pscoast -A150 -JM12c -R120/155/20/50 -W -P -Bg5a10f5:."Map": -G100/100/100 -Lf150/16/16/500+l+jr -K> mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\grdcontour japan.grd -JM12c -C1000 -W1 -L-12000/9000 -O -K>>mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\psxy hydro.txt -JM12c -R120/155/20/50 -W6/200/0/ -Sc5p -O >> mapbat.ps(改行)
---------------------------------------
追加した-Kは、まだ次のコマンドがありますよ、という意味です。これを入れ忘れると図がうまく描けませんので注意してください。最後のpsxy以降は追記がないので-Kオプションはつけません。
psxyコマンドでは
psxy 描画点の緯度経度(またはxy)が書かれたファイル名 オプション
     ↑半角スペース               半角スペース↑
の順に記載します。オプションは次の通りです。
-J,-R,の各オプション:pscoastなどと同じで地図の種類と描画範囲の指定。
-Wオプション:色をR/G/Bで指定する。
-Sオプション:点の種類・大きさを指定する。cは円5pは5ポイントです。
これで赤丸が4個地図上に記載されます。

2.pstextで図中にキャプションをつける。
先ほどのhydro.txtに大して、文字情報を追加します。
---------------------------------------
139:13.5 35:00.0 10 -30 1 LM Hatsushima
139:52.0 32:06.5 10 0 1 RM Myojin
126:58.0 27:33.0 10 0 1 LM Iheya
127:05.0 27:16.0 10 0 1 CT Izena
---------------------------------------
pstextで使用する位置情報ファイルは次のように記載します。
x y size angle fontno justify text
各項目の間は半角スペースで区切ります。
x:経度
y:緯度
size:文字の大きさ(10ポイント)
angle:角度(0は横書き・-30で右下がり30度となる)
fontno:フォントの指定(1はHelvetica-boldに相当)
justify:座標点がテキストのどの位置に来るかの指定(Left / Center / Right と Top / Middle / Bottom を組み合わせ)
text:表示する文字列
なおpsxyコマンドでは位置情報ファイルの中で一番左と左から2番目の情報のみを使用します。左から3番目以降の情報があっても無視するため、ここで修正したhydro.txtはそのままpsxyで○印を描く際にも利用できます。

バッチファイルjapancoast.batのpsxyに-Kオプションを追加し、最終行にpstextコマンドを追加します。
---------------------------------------
c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(改行)
c:\programs\GMT4\bin\pscoast -A150 -JM12c -R120/155/20/50 -W -P -Bg5a10f5:."Map": -G100/100/100 -Lf150/16/16/500+l+jr -K> mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\grdcontour japan.grd -JM12c -C1000 -W1 -L-12000/9000 -O -K>>mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\psxy hydro.txt -JM12c -R120/155/20/50 -W6/200/0/ -Sc5p -O -K>>mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\pstext hydro.txt -JM12c -R120/155/20/50 -O >>mapbat.ps(改行)
---------------------------------------
pstext 描画点の緯度経度(またはxy)他内容が書かれたファイル名 オプション
        ↑半角スペース                   半角スペース↑
の順に記載します。オプションはいままでのpscoastなどと共通です。

Japanxy


以上で地図の中に観測点と文字情報を記載できました。

2012年12月20日 (木)

GMTでのバッチファイルを使ったコマンド入力

WindowsでGMT第6回、前回からの続きです。
連載のまとめはこちら(外部リンク)です。
ブログ内のカテゴリーGMT(地図ツール)から一括してみることもできます。

バッチファイルを使った複数コマンドの事前一括入力。

Etopo1を使って海底地形図を描く際、

  1. grdcutで必要な地形データを切りだす
  2. pscoastで海岸線と枠を描く
  3. grdcontourで等高線を描く

の順に3つのコマンドをコマンドプロンプトから打ち込みました。
「バッチファイル」を作成することで、複数コマンドをあらかじめメモ帳などのソフトを使って入力しておくことができます。

1.バッチファイルとは
バッチファイル(Batch File)は、Windowsで複数の処理をまとめて実行する際に使われるプログラムファイルのことです。バッチファイルの中身には、基本的にはコマンドプロンプトで実行できるコマンドを1行ずつ明記します。
ファイル名の拡張子は、「.bat」とします。"メモ帳"などのエディタを使って作成します。

2.バッチフィルの作り方と使い方
windowsの"メモ帳"を開き→中身を記載した後→「ファイル」~「名前をつけて保存」で"(好きな名前).bat"と指定して保存します。たとえばtestという名前にしたければtest.batと指定します。できあがったファイルをwindowsから見るとメモ帳で保存したテキストフファイルとは違ったアイコンになっているはずです。test.batのアイコンを右クリックしてプロパティを開くと、ファイルの種類が「Windowsバッチファイル(.bat)」となっています。バッチファイルの新規作成時の注意ですが、たとえばデスクトップ上で右クリック~「新規作成」~「テキストドキュメント」を選択してファイルを作成してしまうと、このファイル名をtest.batとしてもバッチファイルにはなりません。またこのファイルを開いて編集後「名前をつけて保存」~test.batと指定してもバッチファイルにはなりません。どちらのケースも「test.bat.txt」というテキストファイルになってしまいますので注意してください。
一度作ったバッチファイルを編集する場合は、右クリック~「編集」を選択します。おそらくメモ帳が立ち上がり編集できるようになります(ここでアイコンをダブルクリックしてしまうと、コマンドプロンプトが立ち上がりバッチファイルの内容が「実行」されてしまいます)。編集結果の保存は上書き保存で大丈夫です。

3.前回のコマンドをバッチファイルで作ってみる。
フォルダは前回までと同じで
GMTのインストールフォルダc:\programs\GMT4
地形データETOPO1の保存先 c:\programs\GMT4\share\dbase
作業フォルダ d:\data\gmt
とします。

まずメモ帳を立ち上げ、本文になにも書かず、「ファイル」~「名前をつけて保存」でd:\data\gmtのフォルダへバッチファイルとして保存します(japancoast.batとします)。ここから作業開始です。前回のコマンド3つをメモ帳で記載します。地図のファイル名はmapbat.psとしておきます。

---------------------------------------
c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(改行)
c:\programs\GMT4\bin\pscoast -A150 -JM12c -R120/155/20/50 -W -P -Bg5a10f5:."Map": -G100/100/100 -Lf150/16/16/500+l+jr -K> mapbat.ps(改行)
c:\programs\GMT4\bin\grdcontour japan.grd -JM12c -C1000 -W1 -L-12000/9000 -O>>mapbat.ps(改行)
---------------------------------------
コマンドが長いため画面がおりかえしてしまうと思いますが、途中では改行しないようにしてください。書き終えたら「ファイル」~「上書き保存」します。

4.バッチファイルを実行してみる。
d:\data\gmtのフォルダへ移動するとjapancoast.batというファイルが存在していると思いますので、ダブルクリックします。そうするとコマンドプロンプトが一瞬立ち上がりなにか表示されたあとすぐに消えます。消えた後d:\data\gmtフォルダをみるとmapbat.psというファイルができています。あとはいつも通りmapbat.psをダブルクリックするとacrobat distillerが立ち上がりmapbat.pdfというpdfファイルができあがります。その後mapbatpdfを確認すると前回作成したのと同じ図が表示されます。

以上複数コマンド入力する際は

  1. メモ帳からバッチファイルを本体をとりあえず作成
  2. 編集したら上書き保存
  3. できたバッチファイルをダブルクリックして実行
  4. psファイルをダブルクリックしてpdfファイルを作成

の順で作業すると便利です。

2012年12月19日 (水)

GMTでetopo1を使って等高線を描く

WindowsでGMT第5回、前回からの続きです。
連載のまとめはこちら(外部リンク)です。
ブログ内のカテゴリーGMT(地図ツール)から一括してみることもできます。

etopo1で海底地形図を描く

1."grdcut"

etopo1には全世界の海底深度、地上高度のデータが入っており1Gbyte弱と
ファイルサイズも大変大きくなっています。そこで
grdcutコマンドを使用して必要な区間のみ切り出すと便利です。

フォルダは前回までと同じで
GMTのインストールフォルダc:\programs\GMT4
地形データETOPO1の保存先 c:\programs\GMT4\share\dbase
作業フォルダ d:\data\gmt
とします。
-----------------------------
D:\data\gmt>c:\programs\GMT4\bin\grdcut c:\programs\GMT4\share\dbase\ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R120/155/20/50 -Gjapan.grd(エンター)

D:\data\gmt>
-----------------------------
これで東経120-155度、北緯20-50度の区間の地形データのみETOPO1から切り出され、
japan.grdファイルに保存されます。

オプションの-Rはpscoastと同じ、-Gは切り出したデータの保存ファイル名を指定します。
この場合はd:\data\gmtフォルダにjapan.grdが保存されます。

2.pscoastの海岸線に等高線を重ね書きする"grdcontour"
前回の海岸線を描いた地図に等高線を重ねます。
GMTでは一つの出力ファイルに対して、複数のコマンドをかけるばあいは
追記、という方法を使用します。

前回のpscoastのコマンドに-Kオプションを追加します。
-----------------------------
D:\data\gmt>c:\programs\GMT4\bin\pscoast  -A150 -JM12c -R120/155/20/50 -W -P -Bg5a10f5:."Map": -G100/100/100 -Lf150/16/16/500+l+jr -K> map.ps(エンター)

D:\data\gmt>
-----------------------------
-Kオプションは、>以下の出力ファイル(ここではmap.ps)に対して追記があります、という意味です。
他のコマンドに対しても共通のオプションです。

3.等高線はgrdcontourコマンドで追記します。
-----------------------------
D:\data\gmt>c:\programs\GMT4\bin\grdcontour japan.grd -JM12c -C1000 -W1 -L-12000/9000 -O>>map.ps

D:\data\gmt>
-----------------------------
-Jオプションはpscoastでのオプションと同一です。ここは直前のpscoastでの設定と同じにします。
-Cオプションは等高線の間隔(m)です。1000m間隔となります。
-Wオプションは等高線の太さと色を指定します。ここではペンの太さが1。色はR/G/Bで指定しますが
省略すると黒(0/0/0)となります。
-Lオプションは等高線を描く範囲となります。ここでは-12000mから+9000mまでと指定しまいます。
マイナス(-)は海中です。

-Oオプションはすでに作成したファイルに(map.ps)に対して追記します、という意味です。
-Kと-Oの関係ですが
 以後の追記のコマンドを入れる予定がある場合は-Kオプションをつけます。
 追記コマンドが途中の場合は、-O -Kと両者ともオプションをつけます。 
 最後、もう追記コマンドが無い場合は-Oオプションのみで終わります。
追記する場合は-K,-Oの各オプションを忘れないようにしてください。

Japancont


2012年12月12日 (水)

消火訓練

Img_0744_3

昨日は火事の避難・消火訓練でした。
こちらABC粉末消火器で火を消す訓練中ですが、ピンク色の煙がでています。この色は消火器の種類で異なります。
粉はりん酸二水素アンモニウム;NH4H2PO4と硫酸アンモニウム:(NH4)2SO4がほぼ半々で9割以上、他に撥水剤の二酸化ケイ素SiO2、固結防止剤,ピンクの着色剤が入っています。主成分は化学肥料にも含まれる成分です。またAは普通火災、Bは油火災、Cは電気火災を表します。

2012年12月11日 (火)

ICP-AESでのアルカリ土類分析

サンゴは炭酸カルシウムの骨格を作ります。このサンゴ骨格の化学成分には水温や塩分などの環境因子に強く依存する物(環境指標)があります。その中で水温依存性を示す物としてアルカリ土類金属元素の濃度比としてMg/Ca比[1], Sr/Ca比[2]などがあります。

アルカリ土類金属はICP-AESで分析可能です。分析条件のメモ書きです。念のため各元素とも複数波長での測定をおすすめします。バックグラウンドが時間変動しますので、骨格であるCaに対して薄い濃度の元素(Mg,Sr)は要注意、ブランク試料を頻繁に測定してバックグラウンドレベルのモニタリングが必要。

標準試料として産業技術総合研究所地球科学情報研究部門が頒布している粉末ハマサンゴ(JCp―1)があるそうです[3]。

Handbook of Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy
CRC press, Ahsa Varmaより

Mg
分析波長:
279.55nm(検出限界0.1ppb,上限4ppm)
280.27nm(検出限界0.2ppb,上限8ppm)
285.21nm(検出限界0.4ppb,上限65ppm)
279.81nm(検出限界10ppb,上限650ppm)
279.08nm(検出限界20ppb,上限>1000ppm)

分光干渉
 近接線としてMnの279.80nm有り
 VやFeが高濃度で共存している場合は279.81nmは非推奨
 Crが共存する場合285.21nmのバックグラウンドが上昇する
 Vは280.27nmで干渉あり

Ca
分析波長:
393.37nm(検出限界0.2ppb,上限2ppm)
396.85nm(検出限界0.3ppb,上限3ppm)
317.93nm(検出限界6ppb,上限300ppm)
315.89nm(検出限界10ppb,上限500ppm)

分光干渉
 393.37nm 396.85nmには無し
 Coが共存の場合315.89nm干渉有り
 
 高濃度の鉄が共存の場合はあ317.93nmに干渉有り

要バックグラウンド補正

Sr
分析波長:
407.77nm(検出限界0.2ppb,上限4ppm)
421.55nm(検出限界0.3ppb,上限8ppm)
346.45nm(検出限界7ppb,上限800ppm)

分光干渉
 存在しない

[1]Mitsuguchi, T., Matsumoto, E., Abe, O., Uchida, T. and Isdale, P. J. (1996) Mg/Ca thermometry in coral skeletons. Science 274, 961―963.。

[2]Smith, S. V., Buddemeier, R. W., Redalie, R. C. and Houck, J. E. (1979) Strontium-calcium thermometry in coral skeletons. Science 204, 404-407.

[3]岡井貴司,鈴木淳,寺島滋,井上麻夕里,野原昌人,川幡穂高,今井登(2004)産総研地球化学標準物質JCp―1(サンゴ),Ct―1(シャコガイ)の共同分析結果.地球化学,38,281―286.

2012年12月 5日 (水)

クリスマスツリー

Photo_7

今年も高知駅にお目見えしました。

2012年12月 2日 (日)

岩石の分類

講演会でのメモ書きです。

火成岩:地下深部現象のスナップショット

変成岩:地下深部現象のレコーダー

堆積岩:表層物質循環のレコーダー

海洋地殻は2億年前の物しか存在しない(プレートに乗って沈み込んでしまう)。一番古いのは日本海溝の東側など。

大陸地殻は30億年を超えたものがある。

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